第4章 男子会・春日山城城下の大衆食堂に於いて
「さきほどの話の続きだが」
信玄様が莉菜の話を蒸し返した。
んだよ… やけにしつこいな。
まさか莉菜に本気で惚れたんじゃねーだろな?
もしそうならややこし過ぎるぞ。
主君とツレが女の事で揉めるところなんか、ぜってー見たくねえ…!
とにかくこの話題が まずいんだ、
何とかしねーと。
天丼を食いながら策を練る。
…!
そうだ、もういっそ完全に無視してやろうか。
したら信玄様も面白くなくなって、すぐに話も終わるんじゃねえか?
今なら謙信様も梅干し食うのに夢中みてーだし丁度いい。
無視を貫くと決めた直後、信玄様が話し出した。
「先月安土に行った際、その莉菜って子が路地裏で男に絡まれていたところに偶然出くわしてなー」
え?
ほんとかよ それ……