第3章 手と手を繋いで/視点違い
「それにね、今、佐助くんの夢を見てたの。そしたら佐助くんがほんとに居たからびっくりした!」
「俺の夢?って、どんな夢……?」
佐助くんが、遠慮がちに食い付く。
「佐助くんが迷子になって、泣いてる夢」
「俺が、迷子」
「ふふ… 迷子なんて、佐助くんって言うより私だよね。なのに夢の中では佐助くんが泣いてて、それを見つけた私が慰めてたの」
「そうなんだ……面白いな」
「うん…」
覚えてる範囲でざっくりと内容を伝えると、
佐助くんは『面白いな』と言いつつも何かを考え込んでいるようだった。
…?
何を考えてるんだろう。
あ…そうか
『あなたの夢を見てました』
なんて急に言われても、返事に困るよね?
私にはすごく幸せな話だけど、佐助くんにとっては……
…ーー
言わなきゃ良かったかも………
深く考えずに口走ってしまったことを後悔する。
佐助くんは先程よりさらに近寄りがたい雰囲気を醸し出し、しばらく黙っていた。
その空気の重さに居たたまれなくなって別の話題に変えようとしたけれど。
でもやっぱり、どうしても気になる…