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イケメン戦国【秘密の花園】

第3章 手と手を繋いで/視点違い




何の根拠もない勘が見事に当たり、心がフワッと浮き立った。

佐助くん、逢いたかった…

しばらく連絡が取れてなかったから心配してたんだ。


「ねぇ、そんな隅に居ないで、こっちに来て!あ、お茶淹れようか?」


夜だし、たいしたおもてなしは出来ないけれど お茶くらいなら。

そう思って布団から出ようとする。

でも。

舞い上がる気持ちを抑えきれない私とは対照的に、佐助くんからの返事は淡々としたものだった。


「いや、ありがとう。でもお構いなく…もう、すぐに退散するから」

「え、そうなの…?」

「うん…ごめん」


"すぐに退散"

そのたった一言に、自分との温度差を感じて寂しくなる。

来て早々そんなことを言うなんて珍しい…

急いでるのかな。

急いでるなら引き止めたら迷惑かもしれないけど…ーー


「せっかく来てくれたんだから…ゆっくりしてって欲しいな……」


耐えかねて、つい我儘を言ってしまう。

ドキドキしながら返事を待っていると、佐助くんが部屋の隅からフッと姿を現わしてくれた。


「ほんとにごめん…こんな夜中に、勝手に……」


私の方へと近付いて、布団の側に座るなり頭を下げる佐助くん。

その様子はやけにシュンとしていて、いつものフランクさは見受けられない。


「私こそごめんね。来てくれたのに全然気付かなくて」


謝るのはこっちの方だよ。

遠いところ来てくれたのに…

暖かい部屋に迎えてあげられなくてごめん。

それに、無理に引き止めるようなことも言ってしまった。


「怒らないの…?」

「怒る?」

「真夜中に女性の部屋に…しかも就寝中に忍び込むなんて… 俺、かなり非常識なことをしてると思うんだけど……」


…うーん、

言われてみるとちょっと変かな…?

でも怒るわけない。

佐助くんに逢えるなら、いつだっていい。


「大丈夫、気にしないで。朝でも昼でも夜でも、何時でも遊びに来てくれたら嬉しい」


気を楽にしてもらいたくて、正直に気持ちを伝える。


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