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イケメン戦国【秘密の花園】

第2章 手と手を繋いで




「ふっ…」


思わず笑いが込み上げる。

眠かったのに…

無理してくれてたんだな。

それでも手だけはまだ、しっかりと繋がれていた。


「莉菜さん」

「ん〜…?」

「君のお陰で元気になった」

「ほんと…?よかった………」

「うん。でももう遅いし、そろそろ帰る。君も寝た方がいい」


俺が声をかけると、手の力が少し緩んだ。

その隙に莉菜さんの身体をそっと布団に横たえる。


「佐助くん、ありがと……」

「俺の方こそありがとう。…おやすみ」

「おやすみなさい……」




…………




間も無く、規則正しい寝息が聞こえ始めた。


その安らかな寝顔を見つめながら。


ずっと付けたままだった口布を、人差し指で下へ降ろす。


そしてゆっくり身を屈め、


前髪の間から覗く莉菜さんの額に、自分の唇を押し当てた。


「…ん……」


俺が額に触れたせいか、莉菜さんが少しだけ身じろぎをする。


ごめん。


寝顔を ひと目見るだけの予定が、こんな事まで…


でも俺の中で膨らんだ君への想いは、もう破裂する寸前なんだ。


(次に逢えた時、必ず)


決意を胸に、莉菜さんの頭をひと撫でしてから天井裏へと戻った。


………

………



とっくに寝静まった安土の町中を、来た時と反対方向に疾走する。

今夜はこのまま、安土に泊まろう。



身体も心も、いつの間にか嘘みたいに軽くなっていた。






ー おしまい・あとがきへ続く ー


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