第9章 真夏の個人授業〜教え子の甘い誘惑〜/R18
思わず放ってしまった怒気で家屋が軋む音が鳴り、
そのお陰で光秀さんの唇は莉菜さんのそれに触れる寸前でストップした。
「……今、妙な音がしたな。天井に大きな鼠でもいるのか」
光秀さんが莉菜さんの顎から手を離し、スクッと立ち上がる。
そして刀に手をかけながら、俺のいる真下まで歩いて来た。
仕方なく自分も刀を抜き、身構える。
最早これまでかと腹をくくりかけるが……
「み、光秀さんっ!!」
莉菜さんが光秀さんを呼び止めた。
少し上ずったその声には、必死さが滲み出ている。
「何だ」
光秀さんが莉菜さんの方をゆっくりと振り返る。
「ね、鼠なんか居ません!今のはラップ現象と言って… この部屋 時々、誰も居ないはずの場所から音が聞こえたりすることがあるんです!」
「らっぷげんしょう…?」
「はい、心霊現象の一種で… コンコンとか、ミシミシとか… 原因不明の色んな音が鳴るんです!もしかしてここ、幽霊がいるのかな……?」
「…………」
「だから… 鼠じゃない、です………」
莉菜さん、
俺のためとは言え光秀さんを相手にそこまで……
ありがとう、そしてごめん。