第9章 真夏の個人授業〜教え子の甘い誘惑〜/R18
不思議だ。
なぜか唇ばかりに目が行ってしまう。
そう言えば今日は一度もキスしてないな……
……、
いやいや。
真面目に勉強してる莉菜さんに対して何を考えてる?
煩悩を振り払うように首を横に降った。
「ねぇ、この字なんて どう見ても『み』に見えるけど『の』なんだね」
「……そう、その字は能面の『能』の字から来てるんだ」
「へぇー」
途中、何度か莉菜さんから話しかけられて、その度に我に返る。
ボーとしたり我に返ったりを繰り返していると、
書き取りを続ける莉菜さんの こめかみに汗の雫があるのに気づいた。
莉菜さんも暑いんだろうな。
着物だし、ずっと集中して字を書いてるし…
この文字を全部書き終わったら休憩を挟もう。
そのまま何となく目が離せないでいると、その汗が流れ、頬をつたい出した。
(ツーーー………)
………。
この粒は一体、どこへ流れ着くんだろうか。
(ツツーー………)
やけに気になって、汗の行方を凝視する。
汗は莉菜さんの頬から顎、顎から首筋へ…
最終的に胸元へと滑り落ちていった。