第8章 秘密の花園/後編
…と、その時。
岩の向こうから一匹の蝶が飛んできた。
「あ、蝶々!」
私達の周りを ヒラヒラと舞う。
アマゾンとか南米とかに生息してそうな、黒地に虹色の光沢のある綺麗な蝶だった。
「珍しい色の蝶々だね」
「…………」
「ねっ、佐助くん」
「……っ、」
「…あれ?どうかしたの?」
「いや… どうもしない」
どうもしないって…
明らかに様子が……
身体がカチコチに固まってるし、目も閉じてる…?
…!
佐助くん、もしかして………
「蝶々、苦手??」
まさかね、と思いながらも質問してみると
「うん…… 実は。恥ずかしながら俺、昔から蝶だけは駄目なんだ………」
と、素直な答えが返ってきた。
佐助くん!可愛過ぎるよ…!!
「そうなんだね、覚えとく!あ、もうあっちへ飛んでったから大丈夫だよ」
また佐助くんの新しい一面を知ることができて、思わず頬が緩む。
「はあ、良かった…… 莉菜さん、引いてない?」
「引いてない引いてない!誰にでも苦手なものはあるし…!可愛いなって思っただけ」
「可愛い、か………」
「うん!」
「君の方が可愛い」
「……えっ」