第8章 秘密の花園/後編
おにぎりを完食後は お茶を飲みながらのんびりと会話をし、森の音を静かに聞いていた。
これって究極の森林セラピーだよね。
心身ともに、健康になりそう。
…あ、そうだ、
ついボーッとしてあれを渡すのを忘れてた。
「あ、あの、佐助くん これ…」
「え?」
自分の持ってきた鞄の中から、例の巾着を取り出して佐助くんに渡す。
「これを… 俺に?」
「うん!あんまり上手く出来なかったんだけど… この間渡せなかったお誕生日祝いに」
「莉菜さん……」
佐助くんの顔に喜びの表情が浮かぶ。
「ありがとう、宝物にする」
すごく大切なものを扱うように巾着を受け取った佐助くんが、ふと刺繍に目を止めた。
「ん?これは…」
「…!」
来た。
政宗にはウニって言われたけど…
佐助くんなら……!
「まっくろ●ろすけ… かな?」
「!?」
…………おかしいな。
佐助くんならマキビシって気づいてくれるかと思ったんだけど…
「え、違った?」
私が黙っていると、佐助くんが焦り出す。
「…ううん、正解!まっくろ●ろすけだよ!」
「っ、良かった。間違えたかと思った」
「ふふっ」
なんかもう、佐助くんが思うように解釈してくれて全然いいような気がして来た。
「何を入れようかな」
巾着の口を開いたり閉じたりして使い途を考える横顔を見ていると、こちらまで嬉しくなる。
頑張って作って良かった…