第8章 秘密の花園/後編
「キャ〜!佐助くん、ここ!?」
約束の日。
私は佐助くんに連れられ、森の中の小さな泉にやって来ていた。
到着まで行き先は『シ●神様の森みたいなところ』としか教えてもらえてなくて。
いざ現地に着いてみると、規模は小さいものの本当にそんな雰囲気だった。
真ん中にある透明度抜群の泉は、覗き込むと鏡のように自分の顔がうつる。
岩にビッシリとこびり付いた苔ですら趣(おもむき)があるし、
今まで見たこともない鳥が鳴いていたり花が咲いていたり…
「佐助くん最高だよ、すごく綺麗!ねぇ、裸足になってもいいかな?」
「もちろん。下見に来た時に、危なそうな石や尖った木の枝は全て拾っておいたから」
「本当?ありがとう!」
私は童心に返ったように裸足で駆け回った。
ーーー
「莉菜さん、そろそろお昼にしよう」
「あ、はーい!」
草で舟を作って泉に浮かべる遊びをしていたら、佐助くんに呼ばれる。
「はい、莉菜さんの分のおにぎり」
「ありがとう、頂きまーす!」
流星群を見たときのように大きな風呂敷を敷いた上に座り、佐助くんお手製のおにぎりを頂いた。
「ん、梅カツオだ!美味しい!」
「よかった」
キレイな三角に握られたおにぎり。
こんな素敵な場所で、大好きな人の作ったおにぎりを食べられるなんて幸せだな…