第8章 秘密の花園/後編
「そういや莉菜。お前、何の用でこの部屋に来てたんだ?」
「えっ」
「いや、なんとなく珍しいと思ってな。…ん? 何だ その袋」
女子二人がきな粉餅を食べる姿を見守っていた政宗が、私の膝の上にあった巾着に目を止める。
「それ、お前が作ったのか?」
「う、うん、一応。お晴ちゃんに作り方を教えてもらって」
ああ…
政宗が急に入って来たせいで巾着を隠す時間がなかったんだった。
そのあとすぐ きな粉餅を食べたから、巾着のことすっかり忘れてた…!
「ふーん…?お前が使う巾着にしちゃ、ちょっと色の選択が渋いな。まるで男物みたいだ」
政宗が私の巾着を摘まんでプラプラさせながら全体をくまなくチェックする。
「そ、そう…?私、こういう色 大好きなんだけどなー?」
やめて〜
早く返して〜〜
心の中で、そう訴える。
お晴ちゃんも気が気じゃない様子でオロオロしていた。
「お、刺繍もしてあるな。何の刺繍だ?これ」
「あっ、それは」
っ!
どうしよう…!
ただでさえ布の色で怪しまれてるのにマキビシ柄ってバレたら…
マキビシ=佐助くん
で、完全にアウトだ!
「それはね…っ」
やばい、
今日に限ってうまい言い訳が思いつかない!
「待て。俺が正解を当てる」
政宗が、うーん と考え込んだ。
そして数秒後。