第8章 秘密の花園/後編
「佐助様と逢瀬… ですか!?」
「うん、そうなの。それでね、」
部屋でお茶を出してもらいながら、佐助くんと初めてデートをすることになった話を切り出す。
「この間、佐助くんの誕生日… 生まれた記念の日があったんだけど、その時に何も贈り物出来なかったから、今度の逢瀬で何か贈りたいと思ってて……」
「ふむふむ」
「私でも作れるような手芸品の作り方をお晴ちゃんに教えてもらえたらなぁ、なんて…」
「莉菜様 わかりました、お任せください!」
「忙しいのに面倒な事をお願いしてごめんね」
「とんでもない!私で良ければ是非お手伝いさせてください」
私の願いを快諾してくれたお晴ちゃんが、さっそく裁縫箱とハギレの入った箱を出して来てくれた。
「わぁ、色んな布があるね」
「ふふ、捨てるにはあまりに勿体無くて取っておいたんです。ところで莉菜様、お裁縫は確か……」
「え?うん、全然ダメ。玉結びするのに10分かかったりしたこともある」
「じゅっぷん?」
「あー… えっとね、とにかくすっごく苦手なの」
「なるほど!では初めてでも作りやすい巾着なんて如何でしょう?巾着なら佐助様にも使って頂けるかと」
「巾着いいね!それにしよ!」
二人でキャッキャと盛り上がり、布や紐を選ぶ。
私は佐助くんをイメージして、濃い目の若草色の布と、紫色の紐を選んだ。
「では分かりやすいように、私も隣で同じものを一緒に作りますね」
そう言って、お晴ちゃんも青い布を取る。
「まずは布の裁断から……」
「よし!えーと、これくらいかな?」
(シャキン!)
「あっ 莉菜様お待ちください、先にきっちり寸法を測ってから切らないと綺麗に仕上がりませんので…!」
目分量でザクザク切り始めた私を お晴ちゃんが制止させる。
「そうなの!?ごめん!」
「いえいえ大丈夫ですよ」
「で、このままずっと波縫いだっけ?」
「あ、違います、そこは返し縫いをしておいたほうが…!」
こうして、先行き不安な巾着作りが始まった。
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