第7章 秘密の花園/前編
食事を終えた後は各自バラバラに行動することになった。
幸村はいつもの行商の仕事へ。
信玄様は古くからの知り合いを訪ねに行き、
謙信様は『食後の運動』と称して野盗討伐へ向かった。
俺は三人を見送ってから、明後日のデートに備えて莉菜さんが喜んでくれそうな場所を探して回ることにした。
芝居。
祭り。
温泉。
買い物…
あれこれ考えながら城下を歩く。
できれば誰の目も気にせずにゆっくり出来る場所がいい。
ゆくゆくは俺の隠れ家でマッタリ過ごすのもいいな。
付き合ってすぐ家に誘うのは気がひけるから今回は却下だけど。
家で男女が二人きりになるという事は勿論そういう事になる可能性もあるわけで…
俺だって早くそうなりたい気持ちが無いわけじゃ無い。
いや… むしろ大いにある。
けど、俺だけじゃなく莉菜さんにも心からそう思ってもらえる日が来るまで、大事に取っておきたい。
となると、どこに行こうか。
どこか景色の良い場所でもあれば……
「ちょっと足を伸ばしてみるか」
ボソッと独りごちた後、俺は走り出した。