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混合短編集

第9章 【刀剣乱舞✕東京喰種】よだれ塗れの刀剣は主がお好き


こうなってはもうお手上げ状態。
かくなる上は強制刀剣破壊か、とその審神者も政府も頭を抱えた。


そんな時だった。
僕らの主が(強制的に)審神者になったのは。

歴史修正主義者になってしまいかねない状態にまで堕ちた二振りを抑えるには、もはや生物兵器並の戦闘能力を持つ者しかない。
既存の審神者の中にいないかと探したらしいけど、着任させてなければ探したっていやしないんだ。いないと分かるや否や、ならば着任させたらいいと方向転換したらしい。

都合良く、別の次元で死んだばかりの人外がいた。頭は少々いやかなり残念だが戦闘能力は言うことなし。

言葉巧みに言い含めて騙せば、良い駒になるに違いない。

そう踏んだ政府は本人の了承なく、身勝手な都合でその人外に審神者にした。
「どうせ言ったって分かりやしない」と真実は告げずに。

何が何だかよく分からないまま審神者に着任し、初期刀として僕を選んだ主は政府のあからさまなへりくだった上辺だけの嘆願にあっさり了承。と言うか、物(食事)に釣られていた。
追いやられるように割り当ての本丸へと送り込まれ。
説明役の役人は帰る直前、依代本体が全く見えない程に大量の封印札をべったり貼られた二振りを、置き土産よろしく置いていった。

見るに堪えない態度の役人が帰って早々、主は僕やこんのすけの制止を無視して封印札を引っペがした。
最後の1枚を剥がしたと同時に二振りの太刀は形を失い、やがて人型をとった。

堕ちかけだと雁字搦めに封印を施され、なのに突然解かれた二振りは呆然としていた。いや、封印を解いた主を見ていた。何が起こったと。
しかし、人間(審神者)に対する恨み辛みはそう簡単には消えない。瞬時に我に返って腐り落ちた足や眼球をものともせず、刃こぼれの酷い依代を主に向けた。
とうの主はと言えば、何をするでもなく首を傾げて見ているだけ。彼らの放つ瘴気を身近で浴びながら。

「僕がこわい?」

にこりと笑う主が発したその一言に、その場にいた全員の背筋に冷たい汗が流れた。身体が恐怖に支配され動けなくなった。
殺気と瘴気を放っていた二振りも終いにはガタガタと震え依代を取り落とした。
地に落ちた折れる寸前の二振りを拾い上げた主は、亀裂や刃こぼれだらけのそれを散々眺め。

突然、べろりと舐めた。
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