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混合短編集

第9章 【刀剣乱舞✕東京喰種】よだれ塗れの刀剣は主がお好き


本丸へ帰宅後、皆にこの一件を報告すると揃って怒り、代わりに訂正を叫んだ同田貫を称えた。

結局のところ皆我慢していた。
下手に声を荒げれば悪目立ちし、さらに後ろ指をさされ、噂は悪化するだけ。
人の噂も七十五日と言うくらいだ。ほとぼりが冷めるまで黙っている方が腹を立てずに済むのだと。

しかし、もういい加減我慢の限界というやつで。
同田貫のそれが褒められたものではないことは言うまでもないとしても、他の誰かが同じ立場であったなら彼と同じ行動に出ただろう。


悔しそうに顔を歪め、歯噛みする彼を御手杵が宥めながら彼の部屋へと連れて行く。

三日月殿や鶴丸殿はいち早く主のもとへ駆け寄り、何やら言っている。慰めているのか、自分はそう思わないと言っているのか。
当の本人である主は、そもそも何がどうなっているのか分かっていないようで、同田貫の去ったあとを見つめながら二振り(ふたり)の頭を乱雑に撫でていた。

気にしているのは僕らだけで、主は言われ慣れているらしくなんとも思ってないようだ。
たとえ本人がそうであっても、僕らは許せなかったんだ。


噂が引き起こしたこの一件により、更に主や僕らは他の審神者や刀剣男士から益々嫌煙されていった。





それから数ヶ月後。
こんのすけが演練についての文書を持って来た。


うちの本丸は、主のその食性から意図的に演練から遠ざけられていた。
演練に集まる審神者のほとんどが人間で、お腹が空いてたから喰った、なんて笑い話にもならないからだ。


しかし今回、こんのすけの必死の報告書の甲斐あって、演練への参加を許された。
絶対に力を発動させないことと、演練に来る前に満腹になるまで“食事”を済ませておくこと、万が一力を発動させてしまった時顔を隠せるものを装着してくることを条件として。

簡単なようで難しいであろうその条件を飲むことを選んだ主は、早速“食料”の手配をしていた。
手配を終えると、全刀剣を大広間を集合させ、演練へと出陣する六振りと当日の近侍を指名した。

近侍は加州清光。
演練組は隊長が僕。嗚呼、なんと光栄なことか。
そして乱藤四郎、堀川国広、燭台切光忠、蜻蛉切、岩融の六振りだ。

相変わらず名前を正しく呼べていないが、名前を呼ばれた全員は張り切っていて、来たる演練本番の日に向けて鍛錬すべく道場へと鼻息荒く我先にと走っていった。
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