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混合短編集

第8章 【刀剣乱舞✕色々】チートな幼女の過去話


「ではその本丸の監査を担当している者に取り次ぎ致します。ですが、担当をしている役人は少々、いえかなり器が小さいようでして。お気をつけくださいませ」

そう言うなり画面から女の姿が消え、女の代わりに【しばらくお待ちください】と文字が表示される。


私は御前の後ろに立っていたため表情は分からなかったが、きっと多少なりとも焦っていた筈。

早くしなければ、彼ら(私たち)は折れてしまうだろう。


「時間はない」

切迫した声色が、耳に残った。




ーーー



連絡を終えた御前は速魚(はやめ)殿を共に外に出て、門前に立った。
しばらくすると、件(くだん)のブラック本丸の監査を担当しているのだという男がやって来た。

その出で立ちは良く言えば、ふくよか。悪く言えば、太り過ぎ。まあ、お世辞でも見目麗しいとは言えない。


男は酷く偉そうな態度で御前を上から下まで舐めるように見て、鼻でせせら笑った。

「お前が監査を名乗り出たガキか?」

その言葉に、護衛として傍にいた速魚殿は目を三角にし、牙を見せ威嚇する。

「口を慎め、無礼者!」
「速魚(はやめ)」

速魚殿の右手に触れ、やんわりと制止する御前は別段怒っている訳でもなく。
むしろ男を見定めているような表情だった。

いやしかし。
この男、度胸があるというかなんと言うか。
見目の整った者が怒ると恐ろしいというが、そんな恐ろしい威嚇されてもなお、その傲慢な態度を変えようとしない。
虚勢を張っているのだろうか。

ただそうにしては、どこか苛立っているようにも見えた。


男は己の持つ鞄から大きめの茶封筒を取り出し、中から紙束を出した。
そして、その幾枚の紙束をずいと差し出した。

「お前が監査をする本丸のデータだ」


でーた、だというそれは厚みこそないが、文字はびっしりと書かれている。

御前はそれを念入りに、見落としせぬよう何度も見返す。
一通り見て、もう一度最初から。
何度も何度も。
私から見ても少し時間のかけ過ぎでは、と思ってしまう程。


待ちきれなかった男は、御前の確認作業に業を煮やし、門の制御盤へと足早に近づく。


何をするつもりなのか。

気になった私は男の後ろをついていく。



先に門前に着いた男はもにたーを操作し、勝手に門を作動させた。
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