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混合短編集

第8章 【刀剣乱舞✕色々】チートな幼女の過去話


「約束だぞ...。必ず、助けてくれよ...?」

皆、もう我慢の限界だったのだ。
心の底で押さえつけて隠していた思いが溢れ出て、それと共に涙も溢れる。
この約束が守られれば自分たちは助かる。

考えるだけで、嬉し過ぎて涙が止まらないようだ。
しかし、はたと気づく。あの六人も気づいた筈。


付喪神は末席とはいえ神。
つまりこれは神前の約束事になる。
破れば命はない。

迂闊だった。そんな空気が漂う。


「二言はない」

御前はきっぱりと言い切った。
その言葉を聞いた六人は意を決し、涙を拭って自分の籍を置いてる本丸IDを口にする。

彼女は帳面にそれを書き記し、破り取り、折り畳んで箱に仕舞った。


そして、彼らは希望を胸に門をくぐって行った。

自分たちの兄弟や仲間の待つ本丸へと帰るために。
頂いた塗り薬を仲間たちへ届けるために。

もう一度、あの地獄へ。




決意新たな六人の背を見送った御前は屋敷へと戻り、連絡機器を政府に繋いだ。
機器からは無機質な呼び出し音が鳴る。

幾度目かの瞬きをしたところで、ぴろんと音がした。

音が鳴るとあの猫面の女が映し出された。


「何用でございますか」

用があるのかと問う声は妙に明るかった。

そう言えば、御前の担当であるこの女、いつぞや自分は役立たずなのかと聞いてきたことがあった。
この時からそう思っていたのなら、余程の無能か、あるいは御前が優秀すぎて出番がないか。恐らく後者だ。

出番があることがそんなに嬉しいらしい。
しかし女の声色など気にもとめず、御前は口を開いた。

「蔦、お願いがある」

ふざけた願いではない真剣そのものの声を聞き、女は咳払いを一つした。

「...伺いましょう」

ごくり、と唾を飲む音が嫌に響く。
期待に喜ぶ雰囲気が、緊迫したものにがらりと変わる。


「本丸ID████65のブラック本丸監査をさせて欲しい」

御前の言葉に猫面の女が纏う空気が一変する。

「確実にブラック本丸であると?」
「そう」

はっきりと断定する御前に、女は少し悩む素振りを見せる。
悩むだけで証拠を提示しろと言わないあたり、それなりの信頼関係はあるようだ。
そして、一つ頷いて。
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