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混合短編集

第8章 【刀剣乱舞✕色々】チートな幼女の過去話


我ら刀剣男士のように付喪神ならよくある話だが、あの御方は付喪神ではない。人間だ。

これがあの御方の容姿の訳、か。

それに巷では、娘は父親に似ることが多いという。
だから髪は黒くとも、瞳は灰銀で彫りの深い顔立ちだったのだ。


一人納得し頷いている間にも、女は淡々と話を続けていく。

「この家は夜の王を祖先に、かれこれもう千年程続く旧家です。
家名もかの王の氏を頂戴しているそうですよ。

その外つ国では貴族同士の婚姻、つまり純血を重んじる貴族家がいくつか存在します。
貴女様のお父様の一族はその中で最も高貴で、最も純血を尊ぶ貴族。
他の貴族家とは別格の権力と、人智の及ばざる力 魔力を持っています。
そんな訳で貴族家の中では王と呼ばれているらしいですが。


当家の子は一等輝く星の名を賜り、その者を守護する神霊は主たる者の名を形にしている事が多いそうです。
例えば獅子ですとか、蟹ですとか。

貴女様のお名前も星の名ですね。
情報によれば、貴女様のお父様の弟君、つまり叔父君がお名付けになったとか。

そして貴女様の守護神霊は、貴女様のお名前通りの屈強そうな神霊です。

こうしている今も、貴女様の傍にいる」


開いた口が塞がらないといえばそうなのだが。
なんと言ったらいいのやら。


御前と彼女の弟君はとんでもなく末恐ろしい血をお持ちのようだ。

お母上は迦具月宮(かぐつきのみや)家の次期当主。
月読命を祖としているだけあって、御前の霊力と神力は誰よりも強く濃い。
お父上は異国の上流階級貴族。
霊力と神力以外に何か不可思議な力をお持ちだとは思っていたが、まさか人智の及ばざる力、魔力すらお持ちとは。

通りで何でも御自分でこなしてしまうわけだ。
物の修理しかり。穢れを祓う事しかり。
あとは、掃除と洗濯と料理もか。

何でも出来すぎて、むしろ怖いくらい。
最初の頃は、本当に八歳児なのかと本気で疑った。
鶴丸殿や和泉守殿に至っては驚きを通り越して、むしろ無になっていた。
でも同田貫殿は全く驚いていなかったな。
知っていたのだろうか。


何が起こっても滅多に怪我をなさらないことも不思議だった。
躓いても、転んでも、ぶつけても。
擦り傷や切り傷、打撲傷すらほとんど見たことがない。
(例の大怪我を除く)

それらは全て、あの御方の傍に居る神霊とやらのおかげだったということなのか。
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