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混合短編集

第8章 【刀剣乱舞✕色々】チートな幼女の過去話


黒いすーつを身に纏った男は、唯一かーてんの無いべっどへ迷うことなく足を進めた。
慌てて後を追ってべっどに駆け寄ると、御前は目を覚ましていたようで、夢うつつといった体(てい)で空を見つめている。

男はべっどの真横に立つと御前に胡散臭い笑いを向け、一つ礼をした。

「はじめまして。私は時の政府の者です。貴女を保護しに来ました」


(は?)

今この男は何と言った?
“保護”だと?

なるほど。
あの御方が審神者になった経緯はそこからだったのか。
もやもやと気になっていた事が一つ解決し、少しすっきりする。


そんな特例措置がとられるなど、そうそう無い。

しかしそれが発動するとするなら条件は二つある。
どちらか片方に、あるいは両方に該当した場合のみ特例が発動する。

一つ、規定年齢未満であるにもかかわらず、異常なまでに霊力が強い。
二つ、歴史に大きく関わり、改変されるような事態に巻き込まれては困る存在である。

あの御方は前の審神者とは大きく違い、霊力の質や量は桁外れだ。
だからこそ“保護”などという措置がとられたのだろう。


この胡散臭い男の言葉を聞いていらっしゃったかは定かではないが、彼女の感情のない瞳は男から視線を外さない。

「“保護”というのは建前で、貴女様は特例にて審神者になっていただきます」
「さ、にわ?」


“義務教育”とやらを受け始めて2年程の幼子に、審神者が何であるかなど習っていなければ理解出来ないはず。
学ぶより遊ぶが仕事の子どもが、“学校”でそんな小難しい事を習うとは思えなかった。

何をさも当たり前のように話すのか、この男は。
しかも、知りませんか?と心底不思議そうにしている。

「審神者とは、まあ簡単に言えば悪者を倒す者のことです」
「...」

ふふん、と自慢げに笑う男。

要約しすぎではないか。
間違ってはいないが。
確かに間違ってはいないが、その説明はないだろう。

納得していないと言いたげに胡乱な目でじとっと男を見つめる御前。
当然だ。そんな説明で理解しろなど無理にも程がある。

さすがに説明を省き過ぎたと感じたのか、男は焦りを含んだ笑みを浮かべ「もっと言うと」と続ける。

「刀剣男士と言う、刀の付喪神を顕現し。彼らの力を借り、歴史修正主義者と戦い。あるべき正しい本来の歴史を守るのが審神者と呼ばれる者の使命です」
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