第7章 ☆【ハリーポッター✕魔法使いの嫁】蝙蝠と石切蜂の馴れ初め
落ち着け。これは良いチャンスなんだ。
過去にあった仄暗いことを全て「思い出」に変えてしまうには良い機会だと暗示をかけ、一つ溜め息を吐く。
「...私が先に好きなった」
やれやれ。
どうして我が子に、それもこんな小っ恥ずかしいことを白状しなくてはならないのか。
言うと決めたが、恥ずかしいやらなんやらでだんだん頭が痛くなってきた。
ーーー
忘れもしない。
あれはホグワーツ魔法魔術学校に入学して3年目の秋だった。と思う。
私は幼い頃からの友人リリーと共に課題をこなすべく、図書室に向かっていた。
レポートを仕上げるには図書室の本を参考にしなくてはならなかったから。
ただ彼女とは寮が違う故に、一人で集合場所の図書室に行くことになった。
その途中で悪戯仕掛け人の奴らと出くわした。
嗚呼、悪戯仕掛け人とはそこらで色んな奴に迷惑をかけて歩く鬱陶しい奴らだ。
思い出すだけでも忌々しい。
ーーー
「よう、スニベルス」
「相変わらず陰険な奴だね」
行手を遮るように立ちふさがるポッターとブラック。
後ろ手に杖を隠し持っていることくらい、安易に想像できた。
そして、その後ろにはルーピンとぺティグリューの姿もある。
いつも傍観しているだけのくせに。
全く一体何がしたいのか。
鬱陶しいが相手にするだけ無駄だ。
奴らの言葉に耳を貸さず、無視を決め込んで隣りを通り過ぎようとした。
それが間違いだった。
「おっと、無視する気か?」
死角から足を引っ掛けられ、みっともなく無様に転倒してしまった。
ニヤニヤと悪どい笑みを浮べるブラック。
くそっ、悪趣味めッ。
大切な教科書をばらまかないように抱え込んだため、手をつくことができず勢いよく肩を打ち付けた。
打ちどころが悪かったうえに、僕の身体は肉付きが悪い。おかげで骨に衝撃が走った。
じーん、なんて可愛い衝撃ではなく、びりびり痺れるような骨に響く程の衝撃。
痛みに悶えていた僕は、ポッターがすぐ近くまで来ていたのに気づけなかった。
気づいた時にはもう遅く、ポッターは僕に杖を向けていた。
「せっかくだから僕らと遊んでよ」
不意打ちで浮遊呪文を唱えられ、抵抗する間もなく身体が宙に浮く。
危うく手に持っていた教科書を落とすところだった。
「いやー、日頃から思ってたんだけどさ。君、リリーと仲良くしすぎなんだよね」