第6章 【刀剣乱舞✕色々】チートな幼女は最強審神者
にや、と笑う顔のなんとおぞましいことか。
その表情に怯んだ主は、たたらを踏んで自分の後ろに立つ一期にもたれ掛かる。というよりはぶつかる。
ぶつかられた一期は、運悪く傷に障ったのか物凄く顔を顰めて呻いた。
主は痛みに耐える一期など見向きもせず、ただただ困惑している。
そんな主の困惑している姿を口だけで笑いながら見る幼子。
...特に面白いものでもないだろう。
「え、な、なによこれ!!」
突然叫んだ主を見れば、まるで帯のようにぐるぐると巻きつく水。
一体どこから湧いたのか。
いや、そもそもどうして帯のように巻きついているのか。
疑問に思い、もしやと幼子の方をちらと見る。
幼子は真剣な表情になり、先程とは違う構えをとっていた。
「雨音美し、奏でよ春の天帝
貴殿の嘆きは今届く」
歌うように紡がれる言葉は静かに流れる川の如く。
今度は、幼子の後ろに簪を二本挿した麗人が立っていた。
薄く発光する男は瞬きすることなく涙を一筋流し、豪快に着物(?)の裾を翻した。
翻された裾から水飛沫が飛び散り、飛び散った水は勢い良く主に向かっていく。
見た目は普通の着物(?)で水を含んでいるようには見えないのに水が散るとは。どうなってるんだろうか。
「つ、冷たっ!!」
かかった水は相当冷たかったようで、顔を歪めている主。
水をかぶったことにより、みっともない服はベタベタになっていた。
内心、ざまあみろと思ったのは俺だけじゃないはず。
冷めた目で主を見ていたら、やたらと首を動かしはじめた。
「なんで動けないの!?」
水がかかったところが硬化しているみたいで、主が動こうとすればきしきし音がしていた。
麗人は、ただ単に水をかけただけのはずだった。
動けないなんてことはないだろうに。
必死に動こうとする主に近寄る幼審神者。
何をする気なんだ?
動向をじっと見ていれば、幼子は主の真正面に立ち顔を、目を覗き込んで言った。
「貴女は神を侮辱した。審神者としてあるまじきその行為、その罪は重い」
幼子が言葉を発した直後、主の足元を大量の水が渦巻く。
「門の先で役人が待ってる」
そう言うやいなや、勢いよく門が開いた。
その先はこれまで見たことがないほど黒く、見ているだけで飲み込まれてしまいそうだ。
呆然と門を見ていると、主の後ろに立った幼子が主を軽く突き飛ばした。