第6章 【刀剣乱舞✕色々】チートな幼女は最強審神者
「いってらっしゃい」
「いやぁあああ!!!」
軽く押されただけのはずなのに。
あっけなく、まるで吸い込まれるかのように一瞬で消えた主。
本当にあっという間だった。
悲鳴の残響がかすかに耳に残る。
主が消えるその瞬間を、目の前で見ていた俺たちだったが。
特にこれといった言葉も感情もなかった。
ただ「嗚呼、これで自由になれたのか」とぼんやり感じるだけで。
実感するにはあまりにも。
何かを言う気になれず、ゆっくりとひとりでに閉じていく門を見る。
ふと一期や鶴丸の方を見れば、呆然と口を開けたまま門を見ていた。
...間抜け面になっていることに気づいているだろうか。
先程の主の大きな悲鳴を聞きつけて、動ける奴らがちらほらとこちらへ集まりだした。
そして来たはいいものの、悲鳴を上げた本人がおらず。
代わりと言わんばかりにそこにいる幼子を、期待と絶望の複雑に入り混じる眼差しで見つめる。
そんなたくさんの視線をものともせず、堂々たる態度で幼子は笑ってみせた。
「改めてまして、これから宜しくお願いします」
手始めに手入れからしましょう、と笑う幼審神者。
すぐ近くに突っ立っていた一期の腕をがしりと掴んで、俺に唱えてくれたあの呪文を唱えだす。
癒えていく傷に涙する一期の様子を見て、嬉しくて泣くのは自分だけではなかったんだと思った。
この幼審神者が新たな主になるのなら、これからは折れるかもしれないという不安に押しつぶされそうになることもないのだろう。
次々と癒えていく仲間。
癒えた自身を見て、仲間を見て。
泣きながら喜び合っていた。
俺も、無傷となった兄弟のもとへと足を向けた。
いつか。
この光景が当たり前になる日がくるのだろう。
END