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混合短編集

第6章 【刀剣乱舞✕色々】チートな幼女は最強審神者


「本当でございますか!良かった、良かったッ」

つぶらな瞳を潤ませて、本当に嬉しそうに言うこんのすけ。
そのうち、ぽろぽろと小粒の涙が零れはじめた。


主たる人間からの屈辱や理不尽を、耐えに耐えて。

何度殺してしまいたいと思ったことか。
ー逆らえないと分かっていながら。

何度折れてしまいたいと思ったことか。
ー自分一振り折れたところで、他の奴らはどうなる。

苦しんでるのは自分だけじゃないと分かっているから。
見捨てることなどできやしなかった。

何度。


やっとあの地獄から逃れられるんだ。

ほっと安心したのもつかの間。
ある事を思い出し、ちらと本丸の方を見る。

「...ここまで穢れてしまっては、もう戻れないだろう」

そう。今この本丸は、居座る主のおかげで空気が澱みきっていた。息がしにくい程に。
黒く薄靄がかかりくすんで、かつての荘厳な風貌はもうない。
このままでは、腐り朽ちていくだけだ。

どうにかしなくては、いけない。


嗚呼そうだ。
新たに来たこの審神者なら。
幼子だとしても、ここに来た以上何とかして欲しい。
俺たちじゃ、どうすることも出来ないから。

縋るように目線を向けると、いつの間にやら俺を見て薄く笑みを浮かべる幼審神者。
大丈夫と言うその顔は、幼子には合わない。

まるで何十年と修羅場を経験してきたかのような。
そんな表情(かお)。


「吹き飛ばしてしまえばいい」

簡単に言ってくれるが、ちょっとやそっとじゃどうにもならないんだぞ。
あちこち芯まで染み付いた穢れはそう簡単には取れない。
相当の霊力を以てしてようやく落とせる。
(以前、こんのすけが霊力圧縮札を持って来たため、使用して分かった)

それくらいしぶとい穢れだというのに。

この幼審神者は分かっていない。


だが期待はできた。
先程、俺の手入れを一切資材なしでやってのけたんだ。
出来るかもしれない。

そうこう考えているうちに、幼審神者はなにやら構えをとっていた。
するとどこからか、ぴちょんと水滴の落ちる音が聞こえた。水などどこにもないのに。

周りを見渡す俺を無視し、幼審神者は肩幅に足を開く。


「潤ませ流すは春の天帝、焼き尽くすは夏の炎帝

吹き飛ばすは秋の風女帝、揺すり支えるは冬の地神帝

見よ、これぞ偉大なる神の御力である

悪しき穢れを彼方へ飛ばせ、秋の風女帝」
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