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混合短編集

第6章 【刀剣乱舞✕色々】チートな幼女は最強審神者


「っ」

空気中を漂う粉が触れたところから傷が消えるように癒えだした。
痛みはなく、むしろあたたかい。

じくじくと傷んでいた傷口は、あっという間にほとんどなくなった。
破れて穴だらけだった服も綺麗に直り、今や何処に穴があったか分からない程で。


手入れとは。
こんなにあたたかいものだったのか。
こんなに泣きたくなるものだったのか。
初めての感情に自分を制御しきれなくて、ボロボロと涙が溢れてきた。

嬉しい。
あったかい。抱きしめてほしい。

思いは溢れるばかりで、とどまることを知らない。
ぼたぼたとただ流れる涙は、次々と地面に丸いシミをつくっていく。
そのうち嗚咽も漏れはじめ、呼吸が苦しくなってきた。

「叶えてあげるよ」

幼子は俺の気持ちを見透かすように言った。
涙で霞む視界では幼子を見ることができないが、薄く笑っているような気がする。
嗚呼、自分の嗚咽がうるさい。

「大丈夫。私が守ってあげるからね」

小さな身体で一生懸命腕を広げ、俺を抱きしめてくれる幼子。
涙でぐしゃぐしゃな顔の俺を抱きしめる腕は優しく。
届いているか怪しいが、頭を撫でてくれている小さな手。

嗚呼。
本当ならばこの幼子は、俺が守らなければいけないのだろう。


だが、今だけは。

その言葉通りに守られるのもいいと思った。


ーーー


「あのぅ」
「!?」

ようやく涙も引っ込み落ち着いた頃、死角から声がかかる。
不意打ちだったこともあり、かなりびっくりして文字通り飛び上がってしまった。

「こんのすけ」

幼子は気づいていたようで、なんでもないような素振りで返事をしている。
どうやら驚いたのは俺だけらしく、なんとも小っ恥ずかしい。
急激に顔が熱くなるのを感じながら、幼子からそっと離れた。

泣きすぎたのと一人だけ驚いたという羞恥で赤くなった顔を、こんのすけに見られたくなくて隠すために布をグイグイ引っ張った。
...これで隠せればいいが。


「...お取り込み中失礼します」

特にこれといったリアクションはせず、深々と頭を下げるこんのすけ。

「...新たに派遣された審神者様でしょうか?」

その声には僅かな期待がこめられていた。
この本丸の誰もが待ち望んでいる新たな審神者。
ちらっと窺うように幼子を見上げ、恐る恐る問うと、幼子は首を傾げただけだった。

「うん」
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