第6章 【刀剣乱舞✕色々】チートな幼女は最強審神者
実感が湧かない。
勢いに任せて封書を開き、中の文に目を通してもまだ湧かなかった。
「政府の上層部にこの一件をお伝えしたところ、この本丸の現在の審神者を解任し、新たな審神者を早急に宛てがう、と」
嗚呼。
その言葉を待っていた。
これで俺たちは。折れなくて済むんだ。
一粒の涙が、頬を伝った。
ーーー
主が現世に一時帰宅し、俺がこんのすけに嘆願したのが一週間前。
こんのすけが封書を持って来たのがその数日後。
それからさらに数日。短いようで長かった。
ついに待ち望んだ者が来る。らしい。
こんのすけの話では、新たな審神者の人選と着任方法は任せてくれ、とのことだった。
どんな奴がくるのかはまだ分からないが、とにかくまともな奴にしてくれと事前に頼んである。
あまりに楽しみすぎて、つい門の前まで来てしまった。
今すぐ来るとは限らないのに。
どんな奴なんだ。
男か?女か?
子どもか?大人か?老人か?
期待は膨らむばかりだった。
「!?」
いきなり門が、勝手に作動した。
「さっさと行け!」
聞こえた声は期待を大きく裏切るものだった。
男の声で、意地汚そうな。そんな声色。
何かと思えば、繋がった先にいるらしい誰かが「何か」を突き飛ばした。
「うっ」
突き飛ばされたのは、幼い子どもだった。それも女。
子どもは、勢いをそのままに俺の腹部に突っ込んできた。
どうやら鼻をぶつけたようで、鼻を押さえて悶えていた。
「お、おい大丈夫か」
悶えたまま動かないので、目線を合わせ、大丈夫か確認しようと膝をつく。
ついた途端、待ってましたと言わんばかりに幼い小さな両手で顔を掴まれた。
「?!」
子どもは何事もなかったかのように俺の顔を覗き込み、色素の薄い灰の瞳を俺に向けた。
瞬間、身体が動かなくなった。
見えない何かに縛られて。
自分の身体が、自分の意思で動かせない。
俺が動かないと理解したのか、子どもは瞬きを二回する。
そして無表情のまま、大丈夫、と小声で言った。
「沈む鳥 明けの鳥
冬を渡り夏を飛び、春を歌い秋を食む
沈む鳥 明けの鳥
星の光を翼に受け飛べ、彼の者を癒せ」
幼子の歌のような呪文が始まると、俺の周りを淡く光る鳥が飛び、輝く粉を振りまき。
揶揄うように羽ばたいては俺の周りを飛ぶ。
動けない事を忘れる程、幻想的な光景だった。