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混合短編集

第6章 【刀剣乱舞✕色々】チートな幼女は最強審神者


このままこの状況が続けば、いずれ誰かが折れる。

重傷の奴なんて、もう両手の数をとうに超えている。
動くことすらままならず、寝たきりの奴も多い。
喋ることさえ叶わない奴だっている。

見目の良い奴、主のお気に入りの奴はかろうじて手入れされているようだが、それでも滅多な話だ。

刀傷だらけで打撲傷に擦り傷、骨折に脱臼。
元がどれだけ美しくとも、衣服の下は皆ズタボロだった。

どんなに「手当て」したところで意味はない。

主に「手入れ」をしてもらわなければ、俺たちの傷は癒えないから。
悔しい。情けない。
主に頼らなくては、手入れもままならないなんて。
仕方ないのは分かってる。
しかし主は手入れをする気などない。

誰か。
この地獄から救いあげてくれ。
誰でもいい。
頼む。助けてくれ。


まだ折れたくない。


ーーー


一週間前のある日、主が鶴丸を近侍に現世へ一時帰宅をした。
親に帰宅命令を出されたと怒っていた。

チャンスだと、思った。

その日の夜中、俺はこんのすけを部屋に呼びつけた。
この状況をどうにかしなければ、今はまだ誰も折れていないが、間に合わなくなる。

だが、焦っていたのは俺だけじゃなかった。
同席していた一期が、いきなりこんのすけを鷲掴みにしたんだ。
必死に「新たな審神者を」と泣きながら懇願していた一期の姿が忘れられない。
自分の知るなかで、彼があんなふうに咽び泣くところを見たことがなかったからだろうか。

皆同じ思いであるというのに、酷く印象に残った。
こんのすけは悲しげに一期を見たあと、一つ頷いてぽふんと消えた。


それから数日後、俺のもとにこんのすけが来た。

どこか嬉しそうに尻尾をぶんぶん振るこんのすけ。
馬鹿でかい声で「密書でございます!」と声を張る。
おいこら。
主にバレるじゃないか。やめてくれ。
こっちは命懸けなんだぞ。
主にバレたらと暴行されるぞ、と小声で注意すればしまったという顔(?)をする。
それでも、口にくわえた封書は落とさなかった。

気を取り直して、と呟いたこんのすけは封書を俺に渡して、ハキハキと言った。

「この本丸の「現在の」審神者様は解任されました」

呆然とこんのすけを見る俺は、さぞかし滑稽な姿だったことだろう。
それでも堂々とした振る舞いで頷いてみせるこんのすけ。
夢じゃ、ないんだな。本当なんだな。
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