第5章 【ワンピース✕東京喰種】ドジな俺と異世界人
うろうろしていれば、この家の大体の間取りが分かった。
階段が見当たらないから多分平屋建て。
少し広めの寝室と台所兼リビングの二部屋に、トイレとバスルーム。
女ひとりで住むには少々広めだ。
いや、そういえば台所に食器が二人分あった。
推測通りなら一人は女だろうが、もう一人はどうなんだろうか。男?女?はたまた子ども?老人?
想像すればするほど、気になった。
ーーー
たいしてそんなに広くないからか、わりとすぐに見終わった。
すぐに見終わったとはいえ、それなりの時間見ていたはずなのに、家主は戻ってこない。
いや、戻ってくるのか?
何故かちょっと不安になった。
未だ戻らない家主はどこにいるのか。
まあ少なくとも家の中にはいない。
この部屋数の少ない家の何処に隠れる場所があるというのか。
家の中でないとするなら、後は外だ。
まだ見てない外にいるかもしれない。
そんな期待を込めて、外に通ずる扉をゆっくりと開けた。
扉を開けたらそこはーーー
「はあ?!」
自然豊かな森だった。
青々と生い茂るは、夏島の樹木。
あれ、俺がいたのって冬島じゃ?と考えた俺は間違ってないはずだ。
見渡す限り一面の緑。
人の手が入っていない、自然そのままの姿。
木々の隙間が射す木漏れ日はちらちらと揺れ動き、まるで踊っているようで。
なんて、詩人のようなことを思ってしまった。
いやいや、ここどこだよ。
見える範囲に人影はなく、時折小鳥の鳴き声が聞こえる。
ザ・森の中。道らしき道はない。
恐る恐る足を進めてみれば、俺の足もとに寄ってくる数匹のリス。可愛い。あー、違う。
今までに見たこともないこの景色は、一体どこの島なのか。
せめて誰かいれば聞くことができるというのに。
ーーー
「あ」
前方に人影発見。
白く長い上着は医療用の白衣だろうか。
背の高い木々にロープが二段にして縛ってあるところを見るに、ここは物干し場らしい。地面に洗濯カゴを置いて衣服を干している。
良かった、これでここがどこなのか聞ける。と思ったのが間違いだった。
嬉々として近寄っていくと、人影は俺の足音に気づいたのか振り返った。
白衣を身に纏った、飾り気のない女だった。
女は、俺を見るなり顔を顰めて一言。
「起きてるし」
酷く迷惑そうに呟いた。え、なんで迷惑そうなの。
おっと。ここで怯んでは話が進まない。