第5章 【ワンピース✕東京喰種】ドジな俺と異世界人
「んえ?」
鼻ちょうちんがぺふんと割れ、目が覚めた。
なんだかよくわからん夢を見た。
確か、夢の中で俺は広大な花畑で花冠を作っていた。と思う。
ローと顔がボヤけて誰だか分からない少女に、握り過ぎてくったくたに萎れた花冠を渡したんだ。
側で見てるローに下手だと爆笑され、少女にはよしよしと頭を撫でられ慰められた。
恥ずかしかった。でも何故か年甲斐もなく嬉しかった。
そんなとても幸せな夢だった気がする。
そこまで考えて、はたと気づいた。
ここはどこだ?
寝起きのだる重い身体をどうにか動かし、ベッドから上半身を起こし辺りを窺い見る。
見たところ誰かの家のようだ。今は誰もいないが。
俺が寝かされていた手作り感満載のクイーンサイズのベッドに、ちょっと離れた所には、これまた手作り感満載のドレッサー。
丸太で作ったであろう、テーブルとイス。
開いた扉の奥の方にはキッチンらしき部屋。
ドレッサーの上に使いかけの化粧品がちらほら散らかって見えるから、家主は女とみた。
いや、そんなことはどうでもいい。
俺は確か。
酷く朧気な記憶を手繰り寄せ、覚えている限りの最後の記憶をなんとか思い出す。
ローに「隣町で落ち合おう」って言って。宝箱に隠して。
嗚呼そうだ。
ドフィに撃たれて、あの時は死んだなぁって思った。
撃たれた?
「!?」
着せられているシャツを捲り上げ、撃たれたと思しき場所を見るが、綺麗な縫合跡があるだけ。
どういうことだ?誰がやったんだ?
どうして俺は生きてる?
嗚呼、ローはどうなった?
答えをくれる者はおらず、思考は沈んでいくだけ。
俺を撃ったドフィ、いやドフラミンゴはファミリーを連れてとっとと逃げた。ローが入った宝箱を抱えて。
あの場に俺を助けられそうなヤツはいなかったはずなんだ。
じゃあ、一体誰が。
誰が俺を助けてくれたんだ。
そしてローは無事なのか。
悶々と悩んでいると、次第に頭が痛くなってきた。
よし、考えるの止めよう。ムリ。ツラい。
どこも痛くないならそれでいいじゃないか。
そうだ。ポジティブに行こう。
ローだって。アイツなら大丈夫。すばしっこいヤツだったじゃないか。
身体が動くのなら、と気分転換に家の中を散策することにした。
見た感じ、そんなに広くはない。
まあ、俺が頭をぶつけないからそれなりに天井は高い。
それはありがたかった。