第4章 【ワンピース✕亜人】殺人鬼の娘
「うーん、どうしよっかなー」
四方八方から銃を向けられてなお、その笑顔が崩れることはなかった。
海軍は、死んだはずのレナが生き返ったことに怯えてる。生き返っただけじゃなく、まっさら無傷になったことが恐怖なんだろう。
ーーパァンッ
「あ」
焦った海兵の一人が、恐怖のあまり震える手で発砲しやがった。鉛玉はレナの肩をピンポイントで撃ち抜いた。
弾が貫通した腕はだらりと下がって動かない。神経をやられたらしい。
誤射と言ってもいいだろう、その発砲は海兵本人もびっくりだったようだ。
同情してやる気はねぇが、可哀想な程真っ青だった。
撃たれた当の本人であるレナは、ありゃあと特には痛がる様子はなかった。
が。
「っあえ?」
その言葉を最期に、発砲した海兵は死んだ。
首が吹っ飛んで。
首がなくなった身体は、膝をつきそのまま倒れ込んだ。
何が。今、何が起こった?
みんながみんな我が目を疑う現象に、銃を構えるのを止める海軍。凄惨な現象だけど、逆に目が離せなかった。
今しがた人が死んだってのにいい笑顔のレナ。
「ボーナスステージだよ、海兵さん」
無邪気に笑うレナの横には、いつの間にやら黒い幽霊。
俺とオヤジとサッチにしか見えてねぇ、下半身のない四本腕の黒い幽霊。
俺の目には、その黒い幽霊の腕の一つが血塗れに見える。
いや、実際に血塗れなんだろう。
見えない奴らにとっちゃ、血が浮いてるようにしか見えねぇはずだ。
鋭利な爪を生やす指は、触れられただけで良く切れそうで。
まあ、切れた結果があの海兵なんだろうな。
いきなり首が飛んで、血を撒き散らしながら死んだとしか見えないと、もはやホラー。
近寄りたくないの一択だ。
俺だって、突然首が飛んだら近寄りたくない。
というか、ボーナスステージってなんだ?
そうこう考えているうちに、レナはどこに仕込んでいたのか厳つい銃を取り出していた。
それもたった一丁だけ。
どうするつもりなのかと注視していると、構えた先はレナ自身のこめかみ。
おい待て、まさか。
「さあ狩り尽くせ、テケテケ」
言葉とほとんど同時に撃ち抜かれる頭。
吹き出す鮮血。
笑顔のまま傾くレナ。
自殺したんだ。
考える間もなく、風穴の開いたこめかみは黒い粒子が渦巻き埋まった。