第4章 【ワンピース✕亜人】殺人鬼の娘
馬鹿らしいと一笑したサカズキは、ボコボコと不気味な音を立て右腕を煮え滾るマグマに変化させた。
そして、ギロッと殺意の滲む目を俺に...いや、ルフィに向けた。まさかッ。
「おいッ!待て!」
ちくしょう!
標的となったルフィは目を見開いたまま動かない。完全に想定外だ。座り込んでしまっているから、ついに限界を迎え動けないんだろう。
ルフィだけはッ!
俺はサカズキに背を向けるような形で、ルフィの正面に両手を広げ立った。何としてでも守る!
来たる痛みに耐えるべく、グッと強く目を閉じた。
しかし、いつまでたっても痛みがやってこない。
代わりにルフィの戸惑うようなか細い声が聴こえた。
不審に思ってそっと目を開く。
キョロと辺りを見れば、俺たちの一挙一動を見ていた家族や海軍の奴らは、目を見開いて固まっていた。
俺の後ろを見て。
「あーあ」
ここにいるはずのないレナの声が、俺の後ろから聴こえてきた。
酷く残念がるような。場の空気にそぐわない声色で。
「...レナ...?」
そっと後ろを振り向くと、そこにはサカズキのマグマによって作られた拳で大きく腹を貫かれたレナがいた。
俺とルフィを守るようにして。
――ズボッ!!
そんな嫌な音が、俺の耳には酷く鮮明に聴こえた。
赤犬の腕がレナの腹から引き抜かれたんだ。
引き抜かれた勢いはそのままに、俺のほうにふらりと倒れ込んできた。俺はレナを受け止める。
重症のはずのレナは、あろうことか自分の貫かれた患部をぺたぺた触っている。
「服、穴空いちゃったなー」
もったいね、と自分の身体よりも服の心配をしていた。
まるで痛みなどないかのように。
それでも血が足りないのか、脱力したままだったけど。
聞きたいことは山ほどある。
なんでここにいる。
なんで海軍の制服なんて着てる。
なんで俺を、かばったりしたんだよッ。
言いたい文句は、声にならずに終わった。
一方、息も絶え絶えなレナを見てサカズキは不快そうに顔を顰めた。
そりゃそうだろう。
自分が貫いたのは、俺じゃなくて見た目は海兵のレナ。
味方を攻撃したとでも思っているはずだ。
周りの海軍の奴らもそうだ。耳鳴りがしてるんじゃと疑いたくなるほど静かだった。
サカズキの野郎を見る目は、絶望と失望。