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混合短編集

第3章 ☆【ハリーポッター✕魔法使いの嫁】蝙蝠の子の苦悶


母の仕事。
それは魔法具の製作だ。
魔法薬学専用の試験管にビーカー。ユニコーンの尾を織り込んだローブ。魔力に反応して光るランタン。
他にも色々ある。
それら全て完全受注生産だから、注文が来てからじゃなきゃ作らない。
しかも注文が来てから出荷までの日付けが短いときた。
期限が短いのに、それをあっさりこなす母は本当に尊敬に値する。


それの助手をしろとは、なんというか。ある意味罰になるだろう。あのえげつなさを考えたら。

居候することになるとは聞いているが、そのことについて俺は別に構わない。
勉強熱心な弟妹たちも、元先生だと知れば大喜びだろう。
けど問題は母さんだ。

母さんの性格上、優しく丁寧に指導なんて無理な話だろう。
子供相手ではない。いい歳した大人相手だから。
さぞかし、尻を蹴り上げられながらの厳しい指導になるんだろうな。
なんかもう既にクィリナスが憐れになってきた。

そして、覚えることは普段の生活だけじゃない。母さんの仕事の助手も。覚えなくてはならない事は山積みだ。

もしかしたら教師をするより、ずっと大変かもしれない。

それに、母さんのよく使う魔法は、父さんやその他魔法使いの使う魔法と何かが違う。
俺には複雑過ぎてまだよく分からないけど、何かが違うってことは分かる。

クィリナスはそれも覚えなくてはいけない。

魔力の巡らせ方を失敗したら、母さんの大切な商売道具を壊すことになるからだ。

以前、父さんがちょっとした手違いで盛大にぶっ壊してしまい、えげつないことになった。
あれはやばかった。いや、やばいなんてもんじゃない。
母さんのキレ方は尋常じゃなかった。
なんせ父さん、伸びてしばらく動かなかったから。
くわばらくわばら。


あれを修理出来る人は少ない。

複雑な内部構造をしているため、ただの魔法使いがただの修理魔法で直すことはできない。
内線が熔けて余計に壊れてしまうらしい。

そのため、直すためには魔法機構の専門技師に頼まなくてはならない。
でも、魔法機構の修理専門技師はその数がかなり少ない。

さらに言えば、彼らはイギリス在住とは限らない。

ある人はスペイン、ある人はスウェーデン。またある人はオーストリア。
それぞれてんでばらばらだ。

そんな彼らへの連絡は決して簡単じゃないのに、呼びつけて修理を頼まなくてはならないのだ。
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