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混合短編集

第3章 ☆【ハリーポッター✕魔法使いの嫁】蝙蝠の子の苦悶


最後の最後でどんでん返しなんてあると思わなかった。
ぐんぐんと流れていく景色をぼへーっと見ながら、ふと考える。

グリフィンドールが寮杯をとることができて最高だ。
スリザリンにとられたと思ったから。
だけど、おかげでスリザリン寮監である父さんは機嫌が悪い。
息子である俺に八つ当たりなんて馬鹿なことはしないけど、なんとも迷惑だ。
このままだと帰って早々、母さんにケツをしばかれるんじゃないか。
ウチにそんなギスギスした空気を持って帰ってくんじゃない!とかって。
...うわ、どうしよ。
とっても有り得る。想像できてしまう時点でアウトだ。
もう一度言おう。

迷惑極まりない。


迷惑といえば。

「フィリップ、校長命令だ。帰るぞ」

「は?」

唐突にそう言われ、顎が外れるかと思った。
夏休みは帰らないだろうって聞いていたから。

なんでも急遽校長からの指示、クィレル先生を匿え、ということで一緒に帰ることになった。

同じコンパートメントで俺の正面に座る父さんと俺の隣りに座るクィレル先生。
とてもじゃないが、父さんの様子は帰宅できるから嬉しそうとはお世辞でも言えなかった。
俺の隣りのクィレル先生が憐れなほどに。
ちら、と伺ってみれば真っ青で半泣きときた。
大の大人が情けないと言いたいところだけど、ここまでガチギレの父さんを前にビビるなという方が無理だ。
思わずため息がもれた。

それにしても。
まさかクィレル先生がヴォルデモートと通じていて、ハリーを殺そうとするとは思ってもみなかった。
おどおどしてて可哀想な、どもりクィレル先生が。
それでも、ちゃんと教えてくれる良い先生だと思っていたのに。信じていたのに。
信じられなかった。

でも、事実クィレル先生...もう先生じゃないか。
クィリナスはユニコーンの血を飲み、ヴォルデモートにその身を捧げた。
それはどうあっても赦されない大罪。
ユニコーンの血なんて飲んだら、どんなに人間に戻りたくとも戻れない。
身体の内側のつくりが変わってしまうらしい。
まあ、そこはアテがあるからどうにかなったんだけど。

それを校長は咎めようとはしなかった。
それどころか、贖罪として俺の母アンジェリカの助手をするよう命じた。
甘いんじゃないかと反論の声は勿論あった。それもそうだろう。
だけど確かに、母の仕事を手伝うのは骨が折れる。かなりしんどい。
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