第5章 マリッジブルー(縁下力/シンデレラ)
バレない内に隠れようとしたけど、及川徹とばっちり目が合う。
でも、力さんに何か言う事は無く…。
「…そういえば、噂で聞いたんだけど、あのシンデレラちゃんの為にお祝いムービー作ってるんだって?
俺を呼び出したのも、その為かな?」
私の知らない情報を喋り始めた。
「…はい。そうだったんですけど…。」
「けど?」
「結婚自体が、駄目になるかも、知れません。」
「へぇ…。喧嘩でもした?及川さんが、相談に乗ってあげようか?」
まるで、私に聞かせるみたいに話を誘導している気がする。
「及川さんもご存知の通り、芸能界で彼女と関わった人にメッセージ貰ったりしてました。
ただ、りこに喜ばせたかっただけの筈が、その内、彼女の為にしてやってるって、恩着せがましい気持ちになってたんです。
これだけしてんだから、式の準備は任せたって感じになってしまって。
サプライズで用意してるんだから、俺の自己満足でしか無いのに…何も、手伝わなかった。相談にすら、乗ってやらなかった。」
力さんの声が弱々しくて、後悔しているのが伝わってきた。
そんなの、お互い様だ。
私も2人の式なのに、力さんの仕事絡みで大事になってるからって、恩着せがましい気持ちになってた。
もう、今すぐにでも謝って、仲直りしたい。
だけど、私を止めるように社長に手で口を塞がれた。