第4章 責任感(田中龍之介/単発)
それが、間違いだった。
職員室に残っていた先生は、私のクラスの担任で。
部活で遅くなったと知ると、注意をされた。
部活も良いけど勉強も頑張れって、余計なお世話です、先生。
そりゃ、お世辞にも成績は宜しくないけどさ。
その所為で、少し時間が掛かってしまったから、部室に行っても電気が消えていた。
先に帰ってしまったんだろうと大して気にせず、校門の方へと向かう。
そこには、田中が居た。
私に気付くなり、物凄い剣幕で近寄ってくる。
「お前は、どっか行くなら先に連絡くらい出来ねーのか?」
「…う。…ごめん、なさい。」
完全な喧嘩腰でこられても、今回は私が悪いから言い返せなかった。
顔を見ていると怖くて、視線を合わせない為に下を向くと、目の前に差し出される手。
「オラ、帰るぞ。」
頭を下げたと、良い方に解釈してくれたらしい。
もう怒っていないと分かれば怖くもないから、その手を取って顔を上げる。
子どもの頃は、こうやって一緒に帰ったりしていたから違和感なんか無かった。
でも、周りからすると違ったようで。
私を捜すべく先に行っていたノヤとか縁下と合流すると、ニヤニヤとした笑いを浮かべている。
「何だよ、お前等ー!そういう関係なら、邪魔者は消えるか!」
「そうだな。馬に蹴られるのは嫌だから。」
そして、多大な勘違いをしながら皆して私たちから逃げるように走っていってしまった。