第4章 責任感(田中龍之介/単発)
結局、やり始めると楽しくなってしまうもので、田中達がバテバテになってきても続けたくなり…。
「田中、体力無いんじゃない?女の私がまだ立ってられるんだよ?」
「…ウルセー。お前と違って、普通の練習もやってんだよ!」
「言い返す元気があるなら、まだいけるね?さ、もう一本っ!」
こんなやり取りをして、まだ打つ気でいたけど。
「お前等、いい加減にしろ。オーバーワークだ。片付けて帰れ。」
主将に怒られて、強制終了になった。
「りこ、着替え終わったら待っとけ。」
「なんで命令口調なのよ?」
「…待っといてクダサイ、コラ。」
「コラいらないでしょ。一々、喧嘩売らないでよ。」
片付けを済ませて、部室に向かう途中も田中と軽口を叩き合う。
送ってくれるんだろうから、本当は言い方なんか気にしてないけど、つい言い返すのは癖だ。
「田中がお願いするなら仕方ない。待っててあげるよ。」
扉の前で恩着せがましい言葉を残して、女子更衣室に入った。
中には潔子さんが着替えを終えていて、私に鍵を差し出してくる。
「今日、用事があるの。鍵、お願い。ごめんね?」
「いやいや、謝らないで下さい!私が調子に乗って遅くなったのが悪いんで!お疲れ様ですっ!」
「お疲れ。また、明日。」
「はい、また明日!」
鍵を受け取って潔子さんを見送り、手早く着替えてすぐに外に出た。
まだ、田中は出てきていないようだ。
鍵を職員室に返さなきゃならないんだけど、着替えをしてるだろう部室に顔を出してまで声を掛ける勇気はない。
少しくらいなら大丈夫だろうと、軽い気持ちで連絡もせずに校舎に向かった。