第3章 いつぞやの会話-三人編-
「ミケ、ゲルガー。君達に聞きたい。…可愛いだろう?」
「あぁ」
「はい」
「それだけじゃない。賢く、優しく、実に忠実だ」
「そうだな」
(確かに。なかなかの逸材だ。素人目にもそう思う)
「我々調査兵団になくてはならない存在だ」
「うむ」
(随分信頼してるな。俺もだけど)
「ナナバ…」
「あぇっ!?」
「どうした、ゲルガー」
「あ、いや、犬のことかと」
「違う!いや、彼も実に素晴らしいよ。だがナナバはまた特別だ」
(団長、めちゃくちゃ満足そうに頷いてるな…)
「おい、ゲルガー」←小声
「なんだよ、ミケ」←小声
「……」
(黙りこんだな。嫌な予感がするぜ)
「さっき言った事は覚えているか」←小声
「おぅ。確か『受け止めろ』だったよな」←小声
「…受け止めろ、そして流せ」←小声
「は?『流せ』?」←小声
「柳のように…!!」←小声
(うぉっ!?珍しくおっかねぇ顔で…何をそんなに…)
「可愛いだろう!?私のナナバは!」
(うぉっ!?いきなりでかい声で…この声、団長か!?)
「あぁ、そうだな。まったくもってそのとおりだ」
「お、おい、ミケ…?(何さらっと同意してんだ!いや、アイツはいいヤツだと俺も思うけど)
「ゲルガー、君はどう思う」
「あっ、いや、その…ナナバ、ですよね?」
「あぁ」
(見たことないくらい嬉しそうな顔だな)
「君はどう…、ハッ!!」
(うん?何だ?)
「ゲルガー、君は、まさか…!」
「あ、はい?」
がしっっっ!!!
「へっ?」
「君は!」ぐらぐらぐら
「あ!?だ、ん、ちょ、うっ」
「君は!!」ぐらぐらぐら
「いや、まっ、ちょっ、揺らさな、いっ」
「ナナバが好きなのか!?」ぐらぐらぐら
「…っ、ぐふぅ…」
「エルヴィン、その辺にしておけ」
「む…、どうした?何故ぐったりしている?」
「…ゲルガーのHPは0だ」
「そうか。日頃の激務がここにきて…」
(違うぞ、エルヴィン……)
「ミケ、しっかり休ませてやってくれ」
「あぁ」
「続きはまた今度にしよう」
「!?」
「ナナバの魅力は語り尽きないからな」
「まて、少し落ち着け」
「話しのわかる君達がいてくれてよかったよ」
(ダメだ、聞いていない……)
fin