第2章 いつぞやの会話-嫉妬編-
「………ふぅ」
「どうしたの、何か考え事?」
びくぅっ!
「…何?またしょうもないこと?」
「いや、何もないよ、何もね」
「嘘吐くの下手」
「!?」
「…はぁ。当ててあげようか、お見合いでしょ」
「なっ、どうして…!?」
「はいはい、それはおいておいて…いつ?」
「…明後日だ。王都まで出向くように、と」
「ん、何を着ていくか決まってますか?」
(ますか?「いや、まだだ」
「じゃ、今すぐ選んでください」
「ナナバ…」
「何ですか、団長」
「あ、いや…すまない…」
「何に対して謝っているのか、分かりかねますが」
「その、君は…」
「ほら、お相手の好みは?把握しているのでしょう?」
「……っ」
「シャツも、タイも、選んで」
「ナナバ!」
「勘違いしないで」
「っ!?」
「何も感じてないと、思った?」
「…っ、正直に言うよ。何となく、淡白な反応が返ってくるんじゃないかと、覚悟していたんだ」
「……」
「だからその、あぁやっぱりと、そう思った」
「……」
「分かっていながら、否定してほしかった。引き留めてほしかった。嫉妬していると、そう言ってほしかった」
「…我慢、してる。出来るなら行かずに断ってほしい」
「すまない…」
「謝らないで。無理なのはわかってる」
「ナナバ…」
「ほら、早く選んで。でないと私が選びますよ、団長?」
「あぁ、頼むよ。君のセンスに任せる」
「わざと変な組み合わせにするかも…いいの?」
「構わないよ」
「だったら、有り得ない組み合わせで行ってきて。変なのが寄り付かないように」
「そんな…」
「……嫉妬だって、してるんだ」
「ナナバ…」
「誰だか知らないけど、エルヴィンを見ないで、触れないで、二度と近寄らないで」
「……」
「そう言ってやりたい」
「大丈夫だ。君以外いらないよ、君以外は…」
「ごめん。こんなこと言うつもりじゃ、なかったのに」
「嬉しいよ、素直にそう思う。大丈夫だ、断る為に行くんだからね」
「あぁ、もう…エルヴィンには敵わないな。そうだ!お土産忘れないで。チョコレートがいい」
「あぁ、わかった」
「帰ったらお茶に付き合ってもらうから。時間も空けておいて」
「…あぁ、勿論だ。君が飽きるまで付き合うよ」
fin