第4章 いつぞやの会話-告白編-
「さて、ご用件は?」
「…好きです」
「……」
「ナナバさん、好きです!」
「そっか。うん…、ありがとう」
「!!」
「誰かに好かれるなんて、本当に有り難いな」
「それじゃ…!」
「…ね、君は、私のどこを好きになってくれたの?」
「それは、その…」
(もじもじしちゃって。顔真っ赤だ。可愛い)
「俺、貴女の笑顔が好きです」
「…例えば、どんな時の?」
「あの…、エルヴィン団長といる時の笑顔、素敵です。大好きです」
「そっか」
「在り来たりな事しか言えないけど、いつも凄く幸せそうで、本当に魅力的なんです」
「そう…。よかった、そんな風に笑えてたんだ」
「あの、ナナバさん…?」
「君の中では、私は君の隣で笑ってる?」
「はい!俺の大好きなあの笑顔で!」
「だとすると、君の思い描く未来図は有り得ない」
「え…どうして…?」
「どうしても。無理なんだよ、絶対に」
「なんで…言い切れるんですか?」
「ん?理由なら、今、君が言ったよ?」
「理由…、何、ですか?」
「わからない…?」
「…わかりません」
「『俺、貴女の笑顔が好きです』」
「はい!そうです、好きです!」
「どんな笑顔だったっけ…?」
「…?」
「『エルヴィン団長といる時の笑顔、素敵です。大好きです』って言ってくれたね」
「はい!!」
「思い出した?」
「はい。あの、その笑顔を、俺にも見せてほしいんです」
「それは無理」
「そんな…俺…」
「君が好きと言ってくれた笑顔は、エルヴィンあってのものなんだ」
「……」
「エルヴィンの隣にいられるから、なんだよ」
「……」
「他の誰でも、だめ」
「……」
(恥ずかしくて、本人には言えないけどね)
「……あの」
「うん?」
「ナナバさんの事、好きでいても…、いいですか?」
「あぁ、それは構わないよ。ご自由に」
「俺、俺……」
「ん?」
「諦めません!」
「それも君の自由だ」
「…だって、好きなんだ…」
「そうだね…。私も好きだよ、エルヴィンが好き」
「……っ」
「君に好きと言われて、本当に有り難かった。それは嘘じゃない。でも、君の期待には応えられない」
「…っ。…失礼、します」
「ん…(ごめん。でも…エルヴィンじゃなきゃダメなんだ)
fin