第28章 いつぞやの会話-子供編-
「仕事終わりの紅茶は最高だね」
「うん…」
「君が淹れてくれた紅茶だと尚更だ」
「うん…」
「こうして並んで座っていただくと余計に美味しく感じるし」
「うん…」
「ナナバ」
「………」
「………」
「………」
「…おかわりいるかい?そうだ、別のを淹れようか。どれがいい?」
「…ううん、大丈夫…」
「そうか…ナナバ」
「何?」
「何だか元気が無いようだが」
「そんなことないよ。大丈夫」
「そうか、それならいいんだが…何かあればすぐに知らせなさい。いいね?」
「ん。分かった…。……っ、あの、エルヴィン!」
「どうした?」
「あの、私って……子供っぽい?」
「え…?どうしたんだ、突然…何かあったかい?」
「そう、いうんじゃ…」
「……」
「……」
「……すまない」
「エルヴィン?」
「いきなりそんなことを言うなんて…君を不安にさせるような事を、俺がしてしまったんだろう?それしか考えられない……」
「ちがっ、エルヴィンは何も」
「君は優しいから、いつもそうやって庇う」
「違うよ…」
「だめだな俺は。全く学習しない…」
「違うってば!!!」
「!?」
「違うの…私が勝手にそう思っただけ」
「ナナバ…」
「…」
「ナナバ!」ぎゅっ
「エルヴィン…」
「すまない……本当にごめん…。もし君に嫌われたらと思うと不安で仕方がないんだ」
「そんな事、ならないよ?」
「うん…君が好きだし、君を信頼している。だからこそ余計に、なんだ。自分では何ともない事でも、もしかしたら君を傷付けてしまったんじゃないかと寝しなに考えるんだ、毎日」
「エルヴィン…」
「それから、目を覚まして一番に考えるのはやっぱり君のこと。君は今日もまた俺に笑いかけてくれるか…それとも………。怖い、怖いよ、君が離れていってしまうのが。想像しただけでどうにかなってしまいそうだ…」
「大丈夫だよ。私はエルヴィンの側にいる、ずっと」
「…君の言葉は何よりも俺を安心させてくれる」
「こうやって、いつだってぎゅってしてあげる」
「有り難う。………俺の方がよっぽど子供だな」
「ん?何か言った?」
「いや、何も。うん、いや、やっぱり言った」
「???」
「ナナバ、好きだ。ずっと一緒にいよう」
fin