第8章 嫉妬も愛情表現です
「はあい、こんにちわー! 今日はクレーンゲーム世界一のゲームセンターにやって来ましたー!」
うっかり普通に挨拶してしまって、こんちゃースイッチを入れ忘れたけど、しっかり実況スイッチはONにして彼女の構えるカメラと向き合う。
あああッ、にこっと目を細めて優しい眼差しを向けてくれてる、恥ずかしいけど嬉しい、でもやっぱり何か恥ずかしいこの状況! 幼馴染みであり恋人に外で撮影してもらうって、変な気分!!
俺とお揃いに変装した彼女が可愛すぎるせいで、カメラ目線をする度ニヤけてしまうけど、幸い、彼女お手製マスクのおかげで隠せていることだろう。
「んふふ。それでは早速、こちらのぴかちゅうのぬいぐるみの、クレーンゲームに挑戦してみたいと思いまーす。
見てよこれ、ぴかちゅうが他のぽけもんを真似した寝袋ん中にすっぽり入ってんの、これほんま可愛いよね〜。菜花ちゃんめっちゃ好きそ……」
あっ。
「ごっ、ごめんごめんごめん、今のなし、撮り直し撮り直しーッ!!」
「ふっ、ふふ、もう、ルトくんったら……。撮影中は私のことを一旦忘れてください、ただのカメラスタッフだと思って」
「えええ、無理やよお……こんな可愛い子を意識すんなって、そりゃ俺に鼻声やめろって言うぐらい無理な話やわあ……。はああ、どないしよ、普通にデート気分になってまう、楽しい」
「それは、嬉しいけど……やっぱり、私が着いて来たのは逆効果、だったかな」
そう言って、しょんぼりと落ち込んでしまった彼女を「いやいやいやコレは俺の気持ちの問題! こんちゃースイッチ入れ忘れてたせいです!!」と、慌ててフォローする。