第3章 まるで恋愛ゲームのような、
『ついに、ついに俺んとこにも大学からの通知来てもうた……あかん、うッ、うぇっ、緊張し過ぎて吐きそう……』
「えっと、大丈夫、やなそうやね……封筒は薄い? 分厚い? ……あれ、ルトくん? ねえ、聞いて、」
『あッ、あああ!?』
「そ、その反応はどっちやの!?」
『ご……合格してたーーーッ!』
「ほんまに!? わあっ、やったねえ!」
『ッしゃあ! やった、俺やったよ!! ようやく独り立ち出来るッ、これで菜花ちゃんにいつでも会えるようなるし、実況もたくさん撮……と、とにかくやったぁーッ!!』
こうして私たちは無事、第一志望の同じ大学へ通うことが叶ったのだった。
嬉しくて嬉しくて、電話越しにいつかのようにふたりで泣いたことを覚えている。
──とは言え私には、そこそこ良い大学に入って将来具体的に何かしたい、なんて目標があるわけでもなかった。
ゲームの他に、私は絵を描くことや料理が好きだけども、それを仕事にしようとは思えなかった。そっちは趣味として楽しみたい。仕事は父のお花屋さんを継ごうと考えていた。高校を卒業したらすぐに働き始めようとも考えていたけど、父が「将来には何があるかわからない。学べる内に学んでおきなさい」と大学へ通うことを勧めてくれた。我ながら、本当に良いお父さんに恵まれたものである。嗚呼、だからこそ、浮気なんてされちゃったのかなあ。
何にせよ、また幼馴染みの彼と同じ学校へ通えること、今度からは会いたくなったらいつでも会える距離に暮らせることは、とてもとても嬉しかった。