第3章 まるで恋愛ゲームのような、
東京の高校生となった私に、京都の高校生である彼は、約束通り頻繁に電話や手紙をくれた。
お互いに携帯電話を持つようになると、毎日メールを交わした。
『ルトくん、おはよー』
『おはよ〜、あかん、めっちゃ眠い』
『また遅くまであの恋愛ゲームやってたの?』
『うん。だってめっちゃ話面白いんよ、キャラも表情豊かで可愛いし。昨日やっと三人目の攻略終わったー』
『ふーん』
『あれー? もしかしてヤキモチ妬いてくれてはるんですかー??』
『妬いてません。ルトくんなんか、死ぬまでずっと仮想恋愛してたらええよ』
『めちゃくちゃ妬いてますやん!? 可愛いなあ、もう。はよ会いに行きたいわあー』
『うるさいうるさい。ルトくんのあほ。ばか。来なくて良いです!』
『ふふーん、菜花ちゃんがいくら嫌がっても俺は絶対遊び行くでー☆ 美味しいご飯よろしく❤︎』
『絵文字、うっとうしいです』
そんな他愛のないメールばかりだったけれど。あー、今でも内容はあんまり変わってないかな、あはは。
長期休みに入ると、彼は本当に私が住む東京へ遊びに来てくれた。お互いに一生懸命貯めたバイト代で某テーマパークをデートしたり、中学生の頃はいっしょに出来なかった対戦格闘ゲームを徹夜でやったりもした。お盆やお正月は私が父といっしょに京都の祖父母の元へ帰り、その時も暇を見つけて故郷の懐かしい場所を遊び回った。
中学生の頃の時間を取り戻すように、ううん、それ以上に楽しくて幸せな時間を彼はたくさんくれた。
それでもさすがに受験シーズンともなれば、会う回数は当然、電話やメールもあまり出来なくなった。朝に『おはよう』と寝る前に『おやすみなさい』を交わすぐらい。ちょっぴり寂しかったけど、でも彼の邪魔をしたくはなかったから、我慢した。彼は私と同じ東京の大学へ通いたいし、東京でやりたいことがあるから、頑張ると言っていた。
会話は少し減っても、変わらず心が繋がっているように感じられたから、私も頑張れた。