第3章 まるで恋愛ゲームのような、
「好き……菜花ちゃんのこと、友達やなくて、女の子として好きって、気付いてもうて……。
初めてこんな気持ちなったから、どうしたらええかわからんくて、ほんで、避けるような真似してもうて、いつの間にか、今日まで全然、話せなくて……ごめん、言い訳なんて最低やな。しかもアホみたいに泣いて、ほんま、かっこわるいわあ、俺」
へら、と弱々しく無理に笑顔を浮かべる彼の表情は、私の胸を酷く締め付けた。
嬉しい告白だった。私もあなたが好きだと言いたかった、だけどそれは、これからの寂しさを倍増させる言葉だろう。
「ルトくん、ハンカチでお鼻かんでええよ、お顔がたいへんなことになってるから」
「う、ほんまごめん……ずびっ……。なあ、もしも菜花ちゃんがこんな俺を許してくれるなら、引越し先の住所とか電話番号とか教えてくれへん、かな?」
「えっ、もちろん、ええよ」
「ほ、ほんまに!? やった!」
さっきまでグスグス泣いていた人とは思えないほど、眩しい笑顔を浮かべて喜ぶ彼。
「中学は全然遊ばれへんかったけど、高校なったら電話や手紙でたくさんお喋りしよう! たくさん遊ぶ……のは、む、難しいけど、俺、すぐにバイト始めてお金貯めるわ。それでっ、菜花ちゃんとこ会いに行くから! 今までのぶん、全部取り返すぐらい、たくさん、たくさんゲームしよ!!」
胸に溜まった寂しい気持ちがゆっくりと溶かされていく。安堵と喜びで胸がいっぱいになる。
これからも、彼に会えるんだ。そっか。じゃあ、何にも悲しくない、寂しくないや。
「うん、ええよ。ねえ、約束やよ。ルトくんと遊びたかったゲーム、たくさんあるの。絶対、約束してね」
「っ、うん! 約束!!」
私はこうして大好きな彼と仲直りを果たして約束もして、故郷の京都を去った。
だけど、もう新しい土地や学校生活に不安なんてなかった。彼とまたたくさんお話ができる、いっしょに遊べるんだ、そう思えば全ての明日が光り輝いて見える。高校生になるのが楽しみだった。