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NANA(ヤス寄り)

第1章 毎日




朝起きた時にはもうシンの姿はなかった。彼の重みで沈んでいるシーツにそっと触れてみるとまだほんのり温もりがあった。彼も忙しいのかあまり朝を一緒に過ごしたことはない。


(今日はお昼から雑誌の取材だっけ)


アイがまとめてくれた大きめの手帳を開き確認する。明日あさっては休みになっている。最近はよくあまり時間を取らない取材関係のものを1日にまとめて設定してくれているので、まとまった休みを作ってくれるのだ。といっても、忙しくなればそんなこともすぐできなくなってしまうが。


敏腕マネージャーにひとまず感謝だ。



時間はまだまだあるため、マリエは白く大きめのノートパソコンを開きさらにはペンタブを用意した。まだまだ小さい名前だが、彼女はコツコツと自身のブランドの洋服をデザインしていた。母の持っている会社で舞台関係の専門で衣装を作っており、そこでマリエのデザインしたものも作って、そのまま販売までしてくれている。そのため彼女自身がやるのはデザインと試作品を着てモデル撮影くらいだ。

暇つぶし程度と思っていたが、思っていたよりも反響が大きく、ワンピースやデニムやらと幅広く人気が出ている。



ぷるるるっと会社用の携帯が鳴り響いた。時計を見ると11時を過ぎていた。アイからの連絡だとわかり、そう急ぐことなく電話に出るマリエ。


『遅いっ』

「ごめんって、もう呼んでくれてるの?」

『もちろん、11時半にタクシー呼んでるから。
あと出来ればマリエちゃんのブランドの服着てほしい。取材でその話もしたいって』

「わかったよ、じゃあまた後でね」



急いでクローゼットをあさる。着てもらえるのはうれしいが、あまり自分で所持していない。出てきたのは黒いワンピースだった。あとは軽く化粧をして、タクシーへと乗り込み取材現場へと向かった。



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