• テキストサイズ

NANA(ヤス寄り)

第1章 毎日




「アイちゃん、バイバ~イ!」
「ホントにタイミング良いんだからっ。
…しっかり休むんだよ、ちょっと今日の撮影は表情暗かったかな」

「うん、ありがとう」



アイはよくマリエのことを見ている。おそらく、先ほどの話題も元気になってほしいと思い、選んだものなのかもしれない。しかしマリエにとってはいい話題ではなかった。


マリエもマンションにつき、深く息を吐き出しながらエレベーターへとのった。携帯電話をみるとメールが数件入っていた。いくつかカーソルを下げるとお目当てのものがすぐに目に飛び込む。自身の部屋のあるフロアへとつくと急いで部屋へと上がった。



「もしもし」


ワンコールで話し相手は出てくれた。眠っていたのかタバコ吸っていたのかかすれた声がすぐに聞こえる。


『マリエさん、やっほ』

「待ってる」

『わかった』



会話はこれ以上なく、すぐに電話は切れた。すこし小腹がすいているので余っていた食パンにチーズをのせて温める。少し暑いので飲み物は冷蔵庫から取り出したオレンジジュースを冷え冷えのまま飲み込んだ。




待っている間特にすることもないので、テレビをつけてみるとトラネスがゲストとして登場していた。最近どこでもよく聴く曲の紹介をしているようだった。あまり聞きたくないのですぐに電源を切ってしまった。




ぴんぽーーん


インターホンを確認すると、待っていた彼だった。急いで玄関へ向かいドアを開けるとマリエより少し小さいくらいの身長の少年がいた。


「シンちゃん」
「ふふっ、寂しかった?」



彼の腕を引っ張り居間のソファーに座らせた。オレンジジュースの入ったコップももう一つ。


「すっかりハマっちゃったかも」
「マリエさん意外。もっと強い人だと思ってた」

「そんなことないよ。みんなそう言うんだけどね」


周りの人はみんな優しい。ただ少し距離を置かれている、というのか避けられてるわけではないが、それがマリエは寂しく感じるのだ。強がっているわけでもないのに、なぜ周りはそう思ってしまうのか。



「私は、シンちゃんのが強く感じるけどね。
若いもん」
「でも一緒に歩いたらマリエさんのが幼いかもね」
「幼いじゃなくて、若いって言って!!」



/ 15ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp