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BLOODY LOSALIO

第6章 マテールの亡霊


天音達は汽車を降り、急いでマテールへ向かって走っていた。天音は神田に手を引かれ、またも息を切らせて必死について行っていた。
「マテールの亡霊がただの人形だなんて…」
岩と乾燥の中で劣悪な生活をしていたマテールは、「神に見放された地」と呼ばれていた。
絶望に生きる民達はそれを忘れるため、人形を造ったのである。踊りを舞い、歌を奏でる快楽人形を。
だが結局人々は人形に飽き、外の世界へ移住。置いていかれた人形はそれでもなお、動き続けた。
500年経った現在(いま)でも…。
「イノセンスを使って造られたのならありえない話じゃない」
「そう、ね…!普通なら、ただの人形が500年もの間、動き続ける、ことなんて…不可能だもの…!」
そして、マテールの地を見渡せる所まできて漸く足を止めた。
ゾクリ、と急に背筋に寒気がはしる。
マテールはピリピリとした空気に包まれていた。
(何だこの冷たい感触は…?探索部隊の人達は…)
すると顔を顰めた神田が舌打ちをし口を開いた。
「トマの無線が通じなかったんで急いでみたが…。殺られたな」
悔しげに顔を歪めるアレンを一瞥し、神田は再び口を開いた。
「おいお前、始まる前に言っとく。お前が敵に殺されそうになっても任務遂行の邪魔だと判断したら、俺はお前を見殺しにするぜ。戦争に犠牲は当然だからな。変な仲間意識持つなよ」
「嫌な言い方」
(神田の物言いはいつもの事だけどバッサリね…。アレンとは本当に馬が合わないみたいだしいつも以上だわ)
突然、町から大砲で撃つような大きな音が響いた。
よく目を凝らすと、レベル1のアクマがある一点に向かって弾を撃ち込んでいた。
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