第5章 任務同行
そう言い捨てる神田。その視線が向く先には天音はおらず、バズ側にいる探索部隊たちへと向いていた。
そしてアレンの神田の腕を掴む手が力を強めた。
「だからそういう言い方はないでしょ」
「早死するぜお前…。キライなタイプだ」
「そりゃどうも」
二人の間に不穏な空気が流れる。
(…というか私を挟んで口論せんでくれませんかね)
神田は言わずもがなの美形、そしてアレンもアレンで顔立ちは整っている。そんなイケメンさんふたりに挟まれ、彼らが口論しているなど少女漫画のような展開ではないか。
しかし、場所は食堂。そして近くには同じ探索部隊の仲間たち。極めつけに口論の内容は殺伐としたもの。甘さの欠片も存在しない。
呆れながらもその空気を変えるために行動を起こしたのは天音だった。
「あーはいはい。いがみあわないの!神田も冷静になって。ね?」
すると、食堂前の通路から科学班班長のリーバーが声をかけてくる。
「あ、いたいた。神田!アレン!天音!10分でメシ食って司令室に来てくれ。任務だ」
司令室に行くと、大きないびきをかきながら机に突っ伏している我らが黒の教団最高責任者サマのお姿が。
「室長!コムイ室長!」
「んゴー」
呼びかけながら方をゆするリーバーたが、頭を殴ってみても一向に起きる気配のない上司。
「…リーバー。この状態だと"アレ"じゃないと起きないと思う」
「…だな」
そしてリーバーはコムイの耳元に顔を寄せ、"アレ"を口にした。
「リナリーちゃんが結婚するってさー」
すると先程とはうってかわりその一言であっさり目覚めた。
「リナイィィー!お兄ちゃんに黙って結婚なんてひどいよぉー!!」
「悪いな。このネタでしか起きねぇんだこの人」
そしてその場の全員が呆れた表情をした。