第3章 新たなるエクソシスト
そんな2人を見送り、苦笑いを浮かべるリナリー。
(差別…)
「ごめんね。任務から戻ったばっかりで気が立ってるのよ」
「は、はぁ…?」
(神薙天音さん…か…)
神田と天音が去っていった方を少し見つめた後、リナリーに声をかけられアレンはそちらへ歩き出した。
「神田!もういいでしょ?離して!!」
ちょっと若干視界がチカチカしてきてるし!これ下手したらオチそうなんだけれど!?
ズンズンと突き進む神田に必死に訴え、漸く離してもらい軽く咳き込む。
「けほ…ほんっと相変わらず容赦ないんだから…」
少し乱れた服を正し、神田に向き合う。
身長差のせいで軽く見上げる体勢になるが、そこは慣れているためそのまま物申す。
「確かに打ち合い付き合うって言ったけど"後で"っていったでしょ?今日はへブラスカに視てもらう日だからその後にしてくれないかしら」
(新人君のイノセンスも気になるし)
最後の言葉は飲み込んで神田を見上げれば、先程よりかはマシな顰めっ面で返される。
「チッ仕方ねぇ。夕飯の後も付き合え。それで手を打ってやる」
「えー…夕飯の後も?」
「あ"?」
「イイエナンデモ」
ここは反発せずに応じた方がよさそうだ。
それなりに長く付き合ってきたからこその勘が働き、神田の要望に大人しく従うことにした。
「それじゃ視てもらったらすぐ来るから。またね」
軽く手を振り小さく駆けてエレベーター乗り場を目指す。今日は痣が割り増しになりそうだ。