第3章 新たなるエクソシスト
エレベーター乗り場に着くと、丁度コムイとアレンが乗り込んでいるところだった。
「コムイストップ!私も乗せて」
了承を得て共に乗り込み、エレベーターはゆっくりとした動作で下降していく。
ずーんと重い空気を纏うアレンに理由を聞けば対アクマ武器の修理を受けたらしい。これはトラウマになっていそうだ。
「明日まで麻酔で動かないけどちゃんと治ったからね」
「あー…ご愁傷さま…」
「まぁまぁ。副作用はあるけど、寄生型はとってもレアなんだよ〜」
「そうね。イノセンスの力を最も発揮できる選ばれた存在だし」
「?いのせんす?」
疑問符を浮かべるアレンに答えたのは、天音でもコムイでもなかった。
『それは神のイノセンス。全知全能の力なり』
「!?」
『またひとつ…我らは神を手に入れた…』
パッと突然照らし出される数人の人影。
「私達のボス、大元帥の方々よ」
「さぁ、キミの価値をあの方々にお見せするんだ」
「…え?」
そしてアレンの背後から"触手のような何か"がするりと伸び、その体に巻きついてゆっくりと持ち上げた。
「!!なっ…!?」
(そりゃあ最初は驚くよね)
驚きを露わにするアレンを眺め、そんなことを呑気に思う。
「イ…イ…イノ…イノセンス…」
触手のような何かはアレンのイノセンスが宿っているであろう左腕に侵入していく。
(なんだコレ…っ、十字架よ発動しろ!)
しかし血管がビキりと浮き上がるだけで対アクマ武器は反応しなかった。
「無理ムリ、麻酔で明日まで動かないって言ったでしょ」
「!コムイさん…っ」
「キミの十字架はとっても素晴らしいよアレン」
そしてコムイもニッコリと笑みを浮かべた。
「どう?ヘブラスカ。この神の使徒はキミのお気に召すかな?」
コムイと天音はニコニコと笑顔を浮かべながらアレンと触手のようなものの正体――――
ヘブラスカを傍観していた。