第2章 フーシャ村の出会い
黒ずくめの追手から逃れた私は、城下町の宿屋で匿われた。
父と懇意にしていたというガープさんに引き取られ、見知らぬ島に身を隠す事になったのだ。
私は父と母の事には触れなかった。
恐らくもう誰ひとり、生きてはいない。
自分が生かされた意味もわからず、ただただ必死でガープさんの手を取った。
「辛いだろうが、お前さんがあの島の王女だった事は誰にも言ってはならん。
もちろん、食べた実の事もな。それが知れたら、ワシもお前を守ってやれなくなる。」
「ガープさんは強い海軍さんなのに?」
「・・・。お前さんを狙っているのは、悪い奴らだけじゃないという事だ。よく覚えておけ。」
ガープさんの言っている意味はよくわからなかったけれど、私が食べた悪魔の実というものがすごく特別なのだという事だけは何となくわかった。
あの男の子達だって、私の正体を知ったら不気味がるか、利用しようとするんだ。きっと。
味方なんて誰もいない。一人で、生きていかなくちゃいけない。
彼らと仲良くなりたいという気持ちを押さえつけ、私は周囲から心を閉ざそうとしていた。