第11章 魅惑の人
「・・・・えっ?!」
サボはそのままアヤを人気の無い路地裏に引き込み、口の前にあったわたあめをどけた。
ぐい~~~っと顔を寄せ、唇が振れそうなところまで顔を近づけると、サボはじっとアヤのアメジストの瞳を見つめる。
「お前さ・・・俺に警戒心無さすぎだろ。あんまりなめてっと・・・襲うぞ?」
「っ・・・?!」
効果てきめんだったようで、アヤの顔はみるみる内に赤くなった。
「ご、ごごご・・・?!ごめ・・・!!」
後ずさり、慌てて繋いでいた手を離そうとするアヤの腰に手を回し、壁際に追い詰めた。
アヤの頬のあたりにはりついていたあたあめをペロリと舐めると、アヤはひゃぁ!と声を上げた。
「サボ・・・はなし・・・!な、なんか変だよ!どうしたのっ・・・。」
「いつも通りだけど・・・?」
耳元に顔を寄せて囁いてみると、アヤはぶるりと震えた。
うっすらと涙目になり、真っ白だった首筋から耳まで上気し、みるみる赤くなる。
あー・・・これは、たまんねェな・・・。
サボはぞわりと背筋を這い上がって来る何かに支配されそうになる。
意図せず挑発的な色香をまき散らすアヤに焦りすら覚えた。
慌てて腕の力を少し緩めると、ふぅっと息を吐いて呼吸を整える。
「わりィ、やりすぎた。」
サボは精一杯の作り笑いをしてみせた。
内心まだ荒ぶっていたが、ここで抑えておかないとまた暴走しかねない。
ところが。
「ど・・・どきどきした・・・っ!」
顔をまっ赤にして愛らしい台詞を吐いたアヤと目が合った瞬間、サボは噛みつくように唇を重ねていた。